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三冊の本の書評 投稿者:宮田律
 2004年02月20日(金) 22時07分10秒
  板垣雄三『イスラーム誤認 衝突から対話へ』(岩波書店、2003年)
   酒井啓子『フセイン・イラク政権の支配構造』(岩波書店、2003年)
   ミラン・ライ『イラク攻撃に反対すべき10の理由』(NHK出版、2003年)
  
    米国が「勝利宣言」をしたイラクが混迷を深めている。イスラム過激派は、日本など米国に協力した国々に対するテロを宣言し、テロへの懸念から日本の株価も下がり始めたように、世界経済に及ぼす影響も少なくない。戦争後の混乱を予見したのは、ミラン・ライの本で、彼女の懸念通りにイラクは果て無き戦闘、食糧・水不足など混迷を一段と強めている。米国は、主権の譲渡を今年六月までにイラク人に行うと言っているものの、イラクの将来は全く読めない状態だ。今年の米大統領選を前にして、国内の支持を気に懸けるブッシュ大統領が、米軍の大幅なイラクからの撤退を断行することも指摘されるようになった。そうなれば、多民族、多宗派から構成されるイラクでは、「第二のフセイン」が現れるかもしれない。ライや酒井の著作は、独裁者の現れるイラク社会の特殊性を教えてくれる。米国との関係をまったく損なえというのではない。板垣の主張に耳を傾け、イスラム世界と米国とバランスをとった、国益を損なわない政策をとることが日本の政策決定者たちに求められている。
  


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