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宮田律の掲示板


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7月13日の演習 投稿者:宮田律
 2004年07月13日(火) 15時09分37秒
   3年生の水越恵さんと私(宮田)が報告した。水越さんからは、クルド人問題ついて報告があった。国家をもたない世界最大の民族であるクルド人が、トルコ、イラク、イランなどに分断されて置かれるようになった歴史的経緯についての説明があり、また、トルコ、イラン、イラクのクルド人の歴史や現況、また問題点に関する説明や分析があった。中東で最初の民族国家となったトルコでは、クルド人のアイデンティティが抑圧され、またクルド語による出版活動やラジオ・テレビ放送が禁止されるなど、トルコへの同化政策が追求された。しかし、近年においては、トルコがEUへの加盟を果たしたいために、「死刑制度の原則廃止」「クルド語による放送解禁」「クルド語や方言による教育容認」などの改革が行われるようになった。また、イランでは、「イラン・クルド民主党(PDKI)」が1945年に結成され、自治を要求してきた。多民族国家であるイランでは、クルド人の自治要求運動が国家の枠組みを変える可能性があるため、イラン政府にはこれを抑圧する方針がある。さらに、イラクでは、「クルド民主党(KDP)」などが自治を要求してきたが、フセイン政権は、1988年3月に化学兵器を用いてハラブジャでクルド人数千人を殺害するなど、クルド人を厳しく弾圧した。最後に、トルコのクルド人に対する今後の扱いが、EU諸国の圧力などによって変化すれば、他の諸国におけるクルド人をめぐる状況にも変化をもたらす可能性がある、と水越さんは結論づけた。
   宮田は、前回の水越さんのアフガニスタンに関する報告を補う形で、アフガニスタンの歴史と社会、アフガニスタンの民族、現代アフガニスタンの不安定の背景、アフガニスタン現政権の不安定要因、日本の対アフガニスタン支援はどうあるべきかなどについて説明を行った。アフガニスタンの民族構成は複雑で、その「民族」を基軸に紛争や対立が行われてきたが、現政権もタジク人主体に成立するなど、今後再び民族的対立を背景に、アフガン政治は不安定な様相を呈する可能性がある。アフガニスタンがイスラム過激派の拠点となったように、アフガニスタンの安定を図ることは世界の安全を高めることにもなる。日本も、経済支援はいうに及ばず、教育や文化復興など「心の支援」を通じて、アフガニスタンの復興支援を行っていくべきことを説いた。


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