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ナイトウのフォトグラファー


 7110です。

投稿元記事:
壊れる、壊す、 投稿者:7110
 2004年10月31日(日) 23時24分59秒
  壊れるから壊す。
  
  母親の実家は商いをやっていて、今も伯父と伯母が続けている。
  実家の奥には工場(こうば)があって、今はもう使われていないが、大きな機械が置いてある。
  今回の地震で、その工場を壊す事を決めた。
  
  昔ながらの家屋で縦に長い。
  店、住居、工場の順で繋がっている。
  工場の部分は、今年65歳になる伯母の生まれるずっと前からある。
  どうやら築100年は経っているらしい。
  その部分が今回の地震で少し傾いた。
  隣の家との隙間がほとんどなく、屋根がぶつかりそうになっている。
  迷惑をかけると悪いから・・・という理由で、これからまたくるかもしれない余震でつぶれてしまうことを恐れて、決めた。
  工場は2階建てで、見たことの無い「綿」を作る大きな機械があったり、お米を擂る機械があったり。
  ギシギシと音をたてる階段は、たくさんの作業人が何度も上り下りした跡が残っている。
  私は2階へ始めて上った。
  何十年も使っていなかった機械にはたくさんの綿くずがあって、なんだか不思議な気分だった。
  残っていた綿を袋につめる作業を手伝ったり、何に使ったのかわからないような木の板や木の機械を運んだり。
  思わず、写真を撮ってしまった。
  
  小さい頃から母親の実家に預けられていた私は、工場の1階部分で布団を作る伯母の姿をいつも見ていた。
  あんなに元気だった伯母もなんだか足腰が悪くなり、歩くことも辛い様子。
  伯父に工場の中にブランコを作ってもらって遊んだりした。
  いろんなことを一気に思い出した。
  小さい頃は広いと思っていた工場の裏の道も、なんだかすごく狭くて。
  
  
  壊したくない、壊されたくない、壊れないでほしい、と思っている人がたくさんいる中で、
  「壊れるから、壊す。」という決断をする。
  
  良いとか悪いとか、そういう基準じゃなくて。
  
  なにか、不思議な気持ちになった。
  
  
  
  人間にはどうしようもできないことがあるんだ。
  
  


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